化粧品製造販売業者や医療機器製造販売業者においての責任役員と法令遵守体制の強化
従来ですと、総括製造販売責任者さんの責任は重大でしたが、今は責任役員さんが全ての法令について主体的に関わり、責任を持つと言う考え方です。
例えば、
総括製造販売責任者さんはその能力をもって品質管理や安全管理について業務の指示及び業務の監督に関する権限なので
広告やSNSなどについては誰が責任者でだれがチェックするのか、教育なども含めてあやふやな部分がありました。
今さらですが、これらについてあらためて書かせて頂きます、
薬機法(旧薬事法)が改正されていて(令和3年8月1日より施行されてます)、
総括製造販売責任者さんの立ち位置の考え方も少し変わって来ているのではと考えますし、
また、最近はやり?なのか従業員の自主性を大事にして(もちろん重要ですが)社内規定や手順書を定めない、事前相談、承認など求めないという業界もありますが、
残念ながら、薬機法にからむ業界(に限らず、ISOもそうでしょうが)では、トップダウンを求めているのです。
下記が、これ大きいよね~と管理人が思っている内容です。
(管理人の考察もだいぶ入った記事ですの反論もあるとは思いますが。。。。)
まだまだ、書きたい事は一杯ですが・・・あんな規定、こんな手順書も用意しないといけないし。。。
1.責任役員というのができました
旧 新
「業務を行う役員」 ==>「薬事に関する業務に責任を有する役員」(通称「責任役員」)
となりました。
2.許可業者等の法令遵守体制の強化が行われ体制整備が求められました
上記の2つは関連していて、従来のいち従業員である総括製造販売責任者の責任よりも、
会社としての責任を重要視するために、登記上の役員に積極的な責任を負わせるものです。
従来ですと、総括製造販売責任者さんの業務として、
品質管理業務や製造販売後安全管理に係る業務に関する法令及び実務に精通し、公正かつ適正に業務を行う。品質保証責任者を監督する、安全管理責任者を監督するであり、営業部門に属してはいけない事になっています。
ここで、営業部門や店舗などが勝手に?やった広告、SNSなどの薬機法違反について誰が責任を持つのかというあやふやな問題が出てしまいます。
(もちろん、総括製造販売責任者が広告、SNSなどのチェック権限などがあれば組織図上で定められていれば別でしょうが)
ここで、全社的に薬事に関する業務に責任を有する役員という考え方が出てくるわけで、
品質管理、安全管理だけでなくて薬事に関する全てを統括管理し、責任を取るのが責任役員と考えます。
事業者の法令違反について責任を負うという事ですので、
品質管理、安全管理だけでなく、広告なども入ってくると考えられる訳です。
まず、
「責任役員」は、誰がなるのか?ですが
通知が出ていまして下記のように定義されています。
●株式会社(特例有限会社を含む。):会社を代表する取締役及び薬事に関する法令に関
する業務を担当する取締役
※指名委員会等設置会社については、会社を代表する執行役及び薬事に関する法令に関
する業務を担当する執行役
●持分会社:会社を代表する社員及び薬事に関する法令に関する業務を担当する社員
●その他の法人:上記に準ずる者
(指名委員会等設置会社でもなければ、いち従業員である総括製造販売責任者さんが、俺は責任役員に該当するからと勘違いして手当を出せ~って勘違い発言しない様に、責任役員になるのは取締役などの役員さんです)
次に、
法令遵守体制の強化です。
これについては、
「製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン」と言うのがでていますので読んで見てください。
これより以下は管理人がここ重要と思う所を抜粋してみました。
法令遵守体制の構築を義務付け、法令遵守のためのプロセスを機能させることを要求
[法令遵守のためのプロセス]
1.法令遵守を重視する統制環境を構築
2.事業者において規範を策定し、事業者内に周知徹底
3.当該規範に基づき業務を遂行
4.当該業務の監督を通じて問題点を把握、改善措置を実施
「薬事に関する業務に責任を有する役員(責任役員)」を法令上位置付け、その責任を明確化
[責任役員のすべきこと・責任]
1.法令遵守体制の構築
2.薬事に関する法令を遵守するために主体的に行動
3.事業者の法令違反について責任を負う
主体的に行動とありますから、今までのように総括製造販売責任者にまかせっきり~とは言えないでしょう。
責任者等(総括製造販売責任者、製造管理者等)ついて、現場における法令遵守等の問題点を最も実効的に知り得る者として、許可等業者に次の事項を義務付け
[責任者等に関する事業者の遵守事項]
1.必要な能力及び経験を有する者を選任すること
2.責任者等の意見を尊重し法令遵守のために必要な措置を講じること
必要な能力及び経験を有する者と有りますから、例えば化粧品の品責さん安責さんには従来資格要件は有りませんでしたが、社内規定により何か能力を担保する必要があるかも知れません。
法令遵守体制整備の考え方
法令遵守体制の基礎となるのは、事業者の全ての役職員に「法令遵守を最優先して業務を行う意識」が根付いていること
法令遵守に係る意識の浸透のため、責任役員は、次の事項を行うこと
[事業者内における法令遵守に係る意識の浸透のために必要な事項]
あらゆる機会をとらえて、法令遵守を最優先した経営を行うというメッセージを発信
自ら法令遵守を徹底する姿勢を示す
そのため、事業者ひいては責任役員は、従業者に対して法令遵守のための指針を示すこと
[指針の明示方法(例示)]
1.法令遵守の重要性を企業行動規範等に明確に盛り込む
2.1.の企業行動規範等を従業者に対し、継続的に発信する
ISOの品質方針のように「方針」を作成(品質方針に追加するか?)して掲示するのも考えられます。
製造販売業者は、社内規定等において責任役員の権限や分掌する業務・組織の範囲を明確に定め、その内容を社内に周知しなければならない
[権限・責任範囲の明確化の重要性・必要性]
1.責任役員が法令遵守の徹底に向けて主導的な役割を果たして行動する責務を有することを深く自覚するため
2.法令遵守について責任役員が主体的に対応するという姿勢を従業者に対して示すため
その上で、責任役員には、法令遵守体制の構築及びその適切な運用のためにリーダーシップを発揮することが求められる。
事業者の業務の適正を確保するための体制の整備
(1) 事業者の業務の遂行が法令に適合することを確保するための体制
1) 役職員が遵守すべき規範の策定
2) 役職員に対する教育訓練及び評価
3) 業務記録の作成、管理及び保存
(2) 役職員の業務の監督に係る体制
業務規定や手順書などを作成しなければならない対象部門や業務が大きく拡大することが考えられます。
従来の教育訓練、自己点検(内部監査)を品質管理業務や安全管理業務だけでなく、広告やSNSなどのマーケッテイング部門まで広げる必要が考えられます。
参考
化粧品や医療機器の広告規制に抵触しない仕組み作り
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