2018年10月14日から下町ロケットの新シリーズが始まります。

前シリーズを思い出した方もおられるかと思いますので、
佃製作所と医療機器について書いておきます。

2015年「下町ロケット」というTVドラマを覚えているでしょうか?
今回はちょっとシビアな話を書きたいと思います。(決して夢を壊す気は無いですが)
TVドラマの中の登場人物の信念には敬服しますし、管理人も医療機器メーカーで開発に携わっていましたので物作りの達成感などは分かっているつもりです。

ドラマのなかでは、どこかの大手企業と組めと
PMEA(現実世界ではPMDAと言いますが)の審査官からプッシュされますが、
(この審査官は裏で色々あったので悪徳審査官のイメージでしょうが)
この大手企業と組め と言う話は正論ではないかと言う感想を書きたいと思います。

このガウディという医療機器は高度管理医療機器に該当します。
としますと、
佃製作所が完成品としての医療機器を製造販売するには、
第1種医療機器製造販売業の許可と医療機器製造業の登録を取得しなければなりません。

人的負担
第1種製造販売業の許可を取得するには、
総括製造販売責任者、国内品質業務運営責任者、安全管理責任者と呼ばれる
有資格者、経験者が必要になります。
製造業の登録をするには、責任技術者と呼ばれる有資格者が必要になります。
要するに、MAX4名の有資格者、経験者を佃製作所は新規に雇用する必要になります。
佃製作所では新規参入なので医療機器業界の経験者はいないはずですので、新規採用が必要になるわけです。
結構みなさん、佃製作所の人材なら免許は取れるかと勘違いしていますが、ぜんぜんダメです。

有資格者とは、医療機器製造販売業、製造業の人的要件の説明 をお読みください。

間接経費(営業に係ることは出来ません)に年間3000万から4000万円かけられますかってことになります。
(このあたりの有資格者・経験者になりますともっと個々の給料高いでしょうから、もっと必要かもですが)
また、営業人員にしても症例など医療に関する知識を持った営業マンを揃える必要があります。

業務的負担
医療機器製造販売業者にはQMS省令に基づいた品質管理が求められます。
ISO13485を取得か、取得しなくても同じような管理をしなければなりません。
佃製作所はもともと製造業ですから、本来であればISO9001くらいは持っているはずなのですがドラマの画面上にどこにもそれが見えなかったので、もしかしたら持っていない可能性もあります。
このQMS管理を行う業務負担は全社に及びます。

製造業としての構造設備の負担
医療機器製造業の登録を行うにあたり、ここが医療機器の製造場所ですと構造を指定する必要があります。
今までエンジンとかを製造していた所と同じではダメです、医療機器製造の専用の場所になります。
クリーンルームを作るだけでも大変です。

上記、3つの理由から
佃製作所、桜田経編の両社とも、大企業の製造販売業者と組み
その製造販売業者へ部品として納入するのが選択肢になるわけです。
(ドラマの中でも帝国重工が製造販売業者になったはずです)

今回は第1種医療機器製造販売業について書いていますが、第2種、第3種ですともっとハードルは下がります。

これから医療機器業界に参入を考える方は、会社の体力を考えて、その医療機器がどのクラスに該当するのか(何種の製造販売業が必要か)を重要視しなければいけないと思います。
例えば第3種医療機器製造販売業であれば1人で全てが兼務出来るので1名採用で良いとか。

上記の話は国内製造の話ですが、輸入品に関しても、製造業としての構造設備の負担の部分以外は全て関わってきます。

管理人は、第1種>>>>>>(ものすごい壁)>>>>第2種>第3種
と考えます。